『短冊に 書かれた夢が 叶うよう』東京都ジュニア講評

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柔道の魅力

『短冊に 書かれた夢が 叶うよう』東京都ジュニア講評

『短冊に 書かれた夢が 叶うよう』東京都ジュニア講評

令和6年7月7日、東京都ジュニア柔道体重別選手権大会が東京武道館にて開催された。

全日本ジュニア柔道体重別選手権大会の出場権をかけた大会でもあり、男子は各階級4名(100㎏超級のみ5名)、女子は各階級3名が代表選手になる。579試合すべてが終了したのは午後7時頃であった。

女子の決勝は延長戦(ゴールデンスコア方式:GS)にもつれ込む熱戦が続いた。

78㎏超級は、本川怜奈選手が袖釣り込み腰で攻め、山口ひかる選手が小外刈りで応酬する。GSに入り、本川怜奈選手が肩車で破る。63㎏級は、矢澤愛理選手が右の内股、濱田美音選手が左の内股、ともに譲らずGSに入り、最後は矢澤愛理選手が内股で破る。57㎏級は、上野明日香選手が右の内股、江口凜選手が左の内股、GSに入り矢澤愛理選手が反則勝ち。52㎏級は、村松舞琳選手が倉田夏苗選手に反則勝ち。各選手の攻める柔道に今後の成長を期待したい。

男子の決勝は一本勝ちが印象的だった。90㎏級は、斎五澤凌生選手が中川凱斗選手を内股で投げて一本勝ち。100㎏超級は、工藤悠祐選手が村瀬浩樹選手に大外刈りで一本勝ち。100㎏級は、同門対決となったが、大霜歩選手が三木望夢選手に一本勝ち。

本日出場の選手の中から、将来、オリンピックで活躍する選手が出てくることだろう。

各選手の伸び伸びとした柔道に今後の成長を期待したい。

 

いよいよパリ五輪開幕が近づいてきた。柔道代表選手の活躍が楽しみである。

ところで、オリンピックでは毎回メダルの数が話題になるが、今回、日本オリンピック委員会は、金メダル20個の目標を掲げている。米国の大手データ会社グレースノートの予想では、日本の金メダルは12個である。2021年東京五輪のメダル数1位はアメリカ(113個)、2位は中国(89個)だった。どちらも経済大国である。つまり、国内総生産(GDP)が高い国である程、メダル数も多い。

人口とメダル数に注目して人口100万人当たりのメダル数でみると、1位はニュージーランド(4.15個)、2位はオランダ(2.10個)で、人口の多いアメリカ(0.34個)と中国(0.06個)は下位である。このことから、人口の少ない小国でも、メダルを取れる可能性が十分あるといえる。

ここでは人口が約555万人(2023年)のノルウェーに注目してみたい。日本よりも小国ではあるが、2020年の東京五輪では8個のメダルを、2022年北京冬季五輪では最多の37メダル(金16個を含む)を獲得した。調べてみるとノルウェーでは2007年に子供のスポーツの権利を定める規定ができた。その内容は、12歳までは全国大会を開くことを禁止するというものである。子供にはスポーツを楽しんでもらうことが第1であるという考え方である(詳しくは『朝日新聞』(朝刊)202462日を参照)。入口を広くし、楽しみを優先するこの取り組みは“ノルウェー・モデル”として世界から注目されている。

日本に目を向けてみよう。スポーツ庁は2008年度から全国体力テスト(全国体力、運動能力、運動習慣等調査)を実施している。2023年度の調査結果では、1位福井県、2位大分県、3位茨城県である。2位の大分県は2008年度には40位だった。どうしてここまで上昇することができたのであろうか。

大分県では、小学校に体育専科教員(2023年度は24人)を配置し、わかる、できる、楽しい、というキーワードで授業改革を進めてきた。その結果、子供たちの運動を習慣化することに成功したのである。2008年度の全国最下位の高知県も、発達段階に応じた体育指導に力を入れ、2023年度には18位まで上昇した。

ノルウェーや大分県の取り組みに共通しているのは、子供たちにスポーツを楽しませる受け皿を作っているという点である。少子化が進む日本では、子供たちがスポーツを楽しむ環境を作ることが重要である。幸いにして、筆者は子供時代に多数のスポーツに触れる機会があった。競技スポーツとしては柔道を選択したが、多数の競技を経験したことは、人生を楽しむ生涯スポーツとして役立っている。

柔道人口を増やすために都柔連は努力しているが、これからは子供たちが複数の競技を体験できるよう、他の競技との連携を図ることが必要になってくるだろう。各種競技団体が横断的な協力をすることで、子供たちの可能性を伸ばしていく時代に入っていると感じる。

今日は七夕である。本日出場のジュニア選手たちは短冊にどのような夢を描いたのであろうか。短冊に書かれたすべての願いが叶って欲しい。柔道関係者の一人として、皆さんの願いが叶うよう、少しでも役立っていきたい。

(広報副委員長 大坪宏至)

  

 

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