柔道入門

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柔道の魅力

武道の歴史

はじめに

この話の主役は武士ですが、武士の誕生までに長い歴史の流れがありました。
ヤマト王権により、広く日本が統一されるのですが、大陸の進んだ技術と文化を取り入れ、統治のありかたにも変化が起こります。

遠いインドで興った仏教が大陸を渡り日本に伝わるのですが、仏教は多大な影響を日本に与えました。寺院の建設技術、法衣や仏具を作る技術、法典を印刷する技術など、当時としては先進的な技術をもたらしました。仏教中心の文化から律令国家へと、日本に秩序が形成され根付いていきます。

各地に建設された寺院は大陸の進んだ情報の発信の拠点となり、人の往来を促します。やがて律令制が緩み情勢が不安定になると、自らの開墾地を自衛するため屈強な農民が武器を手に立ち上がり、自立を目指す自衛集団(武器を持って戦う人)が誕生します。都の貴族も、自衛集団に警護を依頼するようになりました。護衛・戦うことを職業とする人たち(武士)の誕生です。武士は自立のためと、警護のための二つの役割をもつようになります。ずっと後の話ですが、人に雇われる武士のことを侍と呼んで区別するようになります。高い位の武士が武士を雇う、すなわち侍を雇う機会も増え、武士と侍が同じ意味として使われるようになりました。興味深いですね。

武道が日本固有の文化であることは、土地や気候そして人の営みをとおして生まれ、時代と共に変化したことから理解できます。話合いで決着しない場合、武力は解決するための最後の手段でした。戦うことを仕事にする武士は、いつでも戦場に身を置く覚悟が求められていました。そのような武士にとって、常に平常心であること、心のあり方は生死につながる大切なものでした。

平常の心と非常時の心とを別にしないこと。仏教の「平常心是道」の悟りを目標としたのであった。(柔道の独自性、富木謙治著より)仏教・禅が鎌倉時代に武士の間に広まったことも、このような背景から理解することが出来ます。この考え方は現代にもつうじると思います。試合、学校の試験、入社面接、ビジネスでの大事なプレゼンテーションなど、普段の生活でも緊張する場面は少なくないと思います。

さて、戦国の世が終わり、江戸の泰平の世が続くと、侍(武士)のあり方も変わります。鎧を身に付けることはなくなりましたが、日常生活における護身武術として技の工夫がなされ、侍の教養として武芸が奨励されるようになります。

日常生活における座作進退の姿勢(これを自然体という)が、そのまま武術における基本の姿勢となったのである。(柔道の独自性、富木謙治著より)封建社会のなかで、支配する側としての侍に、武士としての心構えが求められるようになります。

江戸時代後期には幕府が学問を奨励したことから、様々な学者が登場し、武士の子は藩校にかよい文武両道を心がけ、町人の子は寺子屋にかよい、読み書き算盤の腕を磨くなど学問が広まりました。当時の識字率が非常に高かったことは有名な話です。明治維新以降の日本が急速に西洋の文化を巧みに取り入れ、発展した素地が江戸時代に出来ていたと言われる所以です。

さて、武道の歴史を辿ることは、過去から現代につながる永遠のテーマ「人と心のあり方」を辿ることになります。少しずつ時間をかけて完成させていきますので、よろしくお付き合いお願い致します。

                                                                                                     公益財団法人東京都柔道連盟 事務局長 小野瀬雅幸

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