地方大会から全国大会へとつながる試合の時期を迎えています。他校との合同練習、練習試合等の機会も増えると考えられます。こうした現状を踏まえ、以下の事故防止、熱中症防止の留意点を参考に重大事故防止に一層のご協力をお願い申し上げます。
特に子どもや柔道を始めたばかりの初心者には特段のご配慮をお願い申し上げます。
重大事故防止の留意点
○コロナ禍以降、子どもの運動離れの傾向が見られる。従前に比べて基礎体力や筋力、受け身が十分に備わっていない状況から頭部や頚部の重大事故の発生が危惧される。
○基礎体力や筋力、受け身が十分に備わっているかを把握して無理のない範囲で練習や試合を行わせる。特に、子どもや初心者の練習や試合には特段の配慮を徹底する。
○日常の練習の中では特に受け身の練習を徹底する。
※初心者の重大事故防止の徹底事項
○初心者には少なくとも3ヶ月程度は高い位置からの投げ込みを行わせない。
特にこの時期は初心者に大外刈りの投げ込みを受けさせない。
○大外刈りの高い位置からの投げ込み(受の両脚が宙に浮くような投げ込み)、および投げ技の乱取りは少なくとも5ヶ月程度経過してからとする。
*特に小中高の成長期にある初心者は、上記徹底事項を厳守すること。
※大会運営(参加)上の留意点
○コロナ禍以降の大会等では頭部打撲等の事故が多発していることを事前に周知して、
大会運営者、大会参加者共に事故防止の意識を高める必要がある。
○大会に参加する指導者は、保護者の連絡先の確認を徹底し、救急搬送が必要な場合、救急車に同乗できる人材を確保しておくなど万一に備えた準備が必要である。
熱中症予防対策の留意点
○練習の前に
指導者は練習前に体温や体調、疲労感や寝不足、栄養不足などのコンディショニング不良がないかどうかを本人または保護者に必ず確認する。また、過去に熱中症になったことがあるか、あるいは考慮すべき基礎疾患等があるかどうかの確認も徹底する。
〇気温と暑さ指数(WBGT)を常に把握して予防指針を守る
熱中症予防指針を遵守して、危険段階となったら練習を中止する。練習開始後に一気に気温が上がることもあるので気温と暑さ指数は常にチェックする。
〇こまめに休憩をとり、水分と塩分を補給する
のどが渇いたと感じた時には、すでに脱水症状が始まっている。いつもより濃い尿の色も脱水のサインである。思考力が低下して不慮の事故の危険性も増す。適宜休憩を取り、運動をはじめる前から適切な水分・塩分補給を心掛ける。
〇個人の条件にも十分に配慮し、早めの対応で事故を防ぐ
普段は暑さに強い人でも、急に暑くなったときや蒸し暑いとき、体調の悪いときには熱中症にかかりやすくなる。また、肥満傾向のある人も熱中症にかかりやすく、体力が十分でない人、暑さになれていない人も、体温調節がうまくできないため、熱中症にかかりやすい。熱中症の症状はさまざまで、気付くのが遅くなりがちである。治療の遅れは多臓器にダメージを与え、取り返しのつかない結果につながる。「柔道の安全指導」第6版の18-22ページの熱中症の資料を参考に日頃から熱中症の症状と対処法についてよく学び、相互の体調に気を配り、早め早めの対応で重大事故を未然に防ぐことが大切である。
参考資料
○「柔道の安全指導」第6版 図表掲載
・19ページ 図23 熱中症の重症度分類(熱中症環境保健マニュアル2018)
・20ページ 図24熱中症予防運動指針(日本スポーツ協会)