人と柔道を考える ①

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柔道の魅力

人と柔道を考える ①

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進化の神秘、ヒトの誕生

医学博士で解剖学者の三木成夫先生の「内蔵とこころ」 を読んで、ヒトの誕生と進化の歴史について考えてみたいと思いました。余り柔道と関係ないように思えますが、例えば筋肉と神経の関係は、反復練習で技や技を掛ける感覚のもとになっている、と感じます。その感覚とは、ヒトが生命記憶として受けつぐ機能・本能的なものに関係している気がいたします。では、お読みください。

地球上に生命が誕生したのは、30億年前と言われている。そして4億8千万年前になると、からだを支える器官として脊椎を持つ動物になるのだが、最初はホヤのようであったが、やがてヤツメウナギの様な格好をして海中に生息していたと考えられています。その後、植物・昆虫・脊椎動物などが上陸して、生息地を拡大しながら想像もつかないほどの時を経て、あるものは消え、あるものは環境の変化に対応し命をつなぎました。

本を読みながら驚いたのは、4億8000万年の進化の歴史を母親の妊娠から出産までの約10ヶ月間と対比し、詳しく述べていることです。妊娠から32日目が脊椎動物が進化の過程で上陸を始める頃に相当し、38日目が上陸を終えた頃にあたると解説されています。その1週間の間に胎児は米粒大から小豆大に成長し、その表情はフカからトカゲそして哺乳的なものに変化し、脊椎動物の進化を辿るとあります。人はこの過程を経て生まれてくるという話に、30億年前と言われる生命の誕生から、受け継がれる生命の尊さが良くあらわれていると思いました。

脊椎動物と進化を簡素化し図で示しました。 出典:医学博士・解剖学者 三木成夫「内蔵とこころ」 


人間の祖先について

今から440万年前にアフリカ大陸に地殻変動、つまりマグマが噴出して5000メートル級の巨大な壁を南北に造った。それ以前は湿った西風が吹いていて、アフリカではジャングルつくりが頻発した。ジャングルには、たくさんの果実をつけ、その実を食べるためにたくさんの動物が生まれ育った。サルもゴリラもチンパンジーも生まれた。ライオンの出生率も増え、チンパンジーとは全く別種のボノボの出生率も増えた。そこでの1000万年の間、霊長類時代つまりサルの時代がひろがっていったため、容易に人間に伝播することになったのだ。

 
地殻変動によってアフリカ大陸に巨大な壁が南北にでき、東側はサバンナ化した。

しかし、噴火後は、東側には湿った風はもう吹いてこない。今まであった木は生えてこない。ボツボツと森が残っていても、この森を食べ尽くすと、次の森に移らなければならない。東側の大地は次第にカラカラになってきて、砂漠地帯に変化してゆく。それまで4本足で歩いてきたときは、密林に足を絡ませ、手を絡ませて木から木へと移動するのは容易にできていたのに、今度は移動することが大変むずかしくなった。

 

そこで次の森へ行くのに、ぎこちない2本足で歩き出ざるを得なくなった。たまたま生き残っていた猿人が、生きるために2本足で立ち上がったと考えていただきたい。2本足で歩くと、体重を足で支えることになるし、手が自由になる。雄は狩りをして食欲を満たすために2本足で歩いた。雌は片手で子どもを抱きながらもう一方の手で何か他のことが出来る。 

                                                        出典:京都大学名誉教授 大島渚 人類進化の軌跡をたどる

近年の研究では複数の人類が同時に生きていたと考えられている。その種類は20種にも及びました。
                 出典:NHKスペシャル「人類誕生」


栄養豊富な肉を食べたことで、脳が大きくなり知能が高くなりました。狩りをするために、石を加工し道具を作りました。獲物をしとめる為に集団で狩りをしました。狩りが上達すると、肉を食べることができ脳が大きくなります。そしてやがて思いやりの心が生まれたと考えられています。食べ物に困り肉食にたどり着いたことによって、私たちの祖先は偶然に、心をもつヒトに進化したと考えられています。

                 出典:NHKスペシャル「人類誕生」

人は進化の過程で経てきたこと、人類の祖先たちが経験してきた多くものを「生命記憶」として内包していると言われています。

爬虫類的なもの(生命を維持する本能)

心拍・呼吸・摂食・体温調整・性行動・安全でいたい

哺乳類的なもの(衝動的に感じる感情)

愛情・恐怖・険悪・快不快・喜怒哀楽・仲間とつながりたい


人間的なもの(未来を論理的に考える思考)

言語・記憶・想像・将来計画・倫理・成長したい


上記の様にヒトは生まれながら多くを内包し誕生します。子供は無限の可能性を秘めています。日本はいま少子高齢化の時代にあります。日本の将来を担う子供たちを、人間教育としての柔道をつうじ、自己を確立し自立する大人に育てることは、いま我々のすべきことであり、まさに精力の善用と考えています。柔道の教育的な価値を、しっかり定義したいと思います。

今後「己を完成し世を補益する人をつくる」ことにつなげていきます。ご期待ください。

ー続くー
人と柔道を考える ② (tojuren.or.jp)

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