柔道 お役立ち情報 ⑧有利な組み手をつくる方法 → 相手の脚を取る技術
(帯より下への攻撃・防御に関する変遷)
国際柔道連盟試合審判規定における帯より下への攻撃・防御、「いきなりの脚とり」 については、
・2009年「立ち技の攻撃・防御において下ばきを握った場合は、『マテ』とし、『指導』を付与
・2010年「片手又は両手で、もしくは、片腕もしくは両腕で、帯より下への直接攻撃または防御することは禁止、該当試合者は『反則負』」
・2017年「脚取りは、1度目が指導、2度目が反則負け」
・2018年 ~「立ち姿勢において、脚を掴む行為、下穿きを掴む行為、手や腕を使って相手の脚をブロックもしくは押す行為は、『指導』」
上記のような変遷を見せている。
現時点でも国際柔道連盟試合審判規程では、組み合った状態から巧みに相手の脚を取って攻撃する技である「朽木倒し」「踵返し」の他、相手の攻撃や動作に素早く対応する腰を抱く防御や「すくい投げ」等が制限されるなど、本来の「講道館柔道」の技の衰退につながる恐れがあるルールを採用している。今現在、2028年のロスオリンピックに向けルール改正が検討されているが、未だ正式発表には至っていない。
一方、国内においては、令和6年の全日本柔道選手権大会において、「畳の上に主審1・副審2を上げ、審判委員を含め4人体制で試合を行う」、「ゴールデンスコアは実施せず試合時間終了後、旗判定とする」、「攻撃を高く評価するため「指導」の数のみを持って判定の材料とはしない」等の改定を行った。これに続き、令和7年の全日本柔道選手権大会では、「立ち姿勢において、相手と組んだ状態で攻撃・防御のために、相手の帯から下を掴む(触れる)ことは反則(指導)とはしない。但し、相手と組んでいない状況で直接相手の帯から下へ攻撃を行うことは反則(指導)とする」という申し合わせ事項を導入することになっている。
もちろん講道館においては、「正しい講道館柔道をするためには、互いに正しい姿勢と組み方で力だけに頼らず、互いに一本を取り合う」柔道を推奨している。
しかし、今回のお役立ち情報⑧ではあえて、「有利な組み手をつくる方法 → 相手の脚を取る技術」と題して、不利な組み手を打開するための「組み手を切る技術」とこれまで紹介してきた「ゆさぶり」を用いて、自身にとって「有利な組み手をつくる方法」、そして、一連の動作から「相手の脚を取る技術」までを紹介した。私の世代は、「柔道は基本無差別で行うものである」という時代から、「柔道は階級別で行うスポーツである」という時代への過渡期であったと考える。60Kg級であった私も多くの体重無差別の試合に挑戦してきた。今回の「お役立ち情報⑧」で、私がどんな工夫をして大きい相手と戦っていたかを感じていただけると幸甚である。
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