じゅうどうLab Vol.8 立技からの十字固
前回に引き続き、関節技です。寝技において大切なことは寝技だけではありません。柔道は必ず立技から始まります。ですから寝技への移行がとても大事です。私はこれを「寝際」と呼んでいます。稽古での寝技は強いけど、どうしても試合では勝ち抜くことができないという人はこの寝際の意識が足りないのかもしれません。寝技の稽古ではなく、立技の稽古の時に寝技をする意識をしましょう。
今回は立技から十字固に限定した打ち込みを紹介します。私が現役時代、テレビで福岡国際を見ていて山田(廣川)真由美選手の十字固に感嘆の声をあげました。投技からの十字固があまりにもスムーズで、もはや芸術的とも思えたからです。後年、そのことを本人にお聞きしたところ、何度も反復練習を繰り返していたとのこと。一瞬の閃きで投げることはできても、十字固まで繋げることは容易ではありません。ここでもやはり打ち込みの重要性を再確認しました。気持ちのよい一本級の投げ込みも大切ですが、しっかり投げられなかった際の、ゴロンとした「投技あとを繋ぐ打ち込み」も取り組んでおくと、いつか大事な場面でその効果を発揮することでしょう。
余談ですが、私は巴十字や立技での腕挫腕固を得意としていました。しかし現在の「立ち姿勢における関節技を禁止する」ルールによって仕掛けることができなくなってしまいました。非常に残念です。
Youtube
https://youtu.be/Yh1t-JNOFuE
公開済み
【じゅうどうLab】
今年度よりこちらの「お役立ち情報」でコラムを担当することになりました小室宏二です。このコーナーは「じゅうどうLab」と題し、柔道の技術や練習・指導方法、考え方などを紹介していこうと考えております。画像や動画なども交えながら、なるべくシンプルに、そして少しでも柔道のスキルアップや指導の参考になるようなものを紹介していこうと思います。
【参考】
「柔道固技教本」 小室宏二著 晋遊舎 2011
「DVD柔道固技上達法」 小室宏二著 クエスト 2009
YouTube「KOMLOCK 柔道 JAPAN」
https://www.youtube.com/channel/UCJr_RJ2_VqiyTRy6abbo8hA
【プロフィール】
小室宏二(こむろこうじ)
早稲田実業学校 教諭 柔道部監督
筑波大学・大学院卒業
足立学園講師、講道館道場指導部、東京都市大学付属中学校・高等学校教諭を経て現職
現役時代に培った固技技術を、国内外の試合に参加しながら実践し指導・普及を行っている