私事ですが今年で46歳になりました。現役を引退してから20年になります。若いときは飛び込む内股など、スピードやパワーを生かした柔道に取り組んでいましたが、いまはもうできません。身体の衰えと向き合い、自分の柔道を考えた時「後ろ周り捌き」を取り入れることにしました。
前周り捌きがスピードとパワーを必要とする一方で、後ろ周り捌きは相手の押す力、袖口を絞ろうとする力を効率よく利用することができます。私にはこれがピタッとはまり、現役時代は全く効かなかった背負投や小内刈が、40歳を過ぎてから効くようになりました。
もちろん、体幹の強さや回転力も必要です。回転力は力というより、足を振り子にすることで回転力を高めます。そんな後ろ周り捌きですが、私の現役時代同様、今の選手はほとんどの技を前周り捌きで打ち込みます。それはなぜかといえば、技を教わるときほとんどの場合がまず一歩踏み出し、前周り捌きで技を教わるからです。
私の指導する早稲田実業では横移動の打ち込みを定期的に行います。その際、左右どちらに移動しても同じ技を仕掛けるようにします。内股や大外刈では無理ではないか?と最初は困惑する生徒もいますが、徐々に慣れていき前後どちらに捌いても技が入れるようになります。
横移動の打ち込み、ぜひ稽古に取り入れてみてください。ちなみにこちらの動画も参考にしてください。
How to practice JUDO step
【じゅうどうLab】
今年度よりこちらの「お役立ち情報」でコラムを担当することになりました小室宏二です。このコーナーは「じゅうどうLab」と題し、柔道の技術や練習・指導方法、考え方などを紹介していこうと考えております。画像や動画なども交えながら、なるべくシンプルに、そして少しでも柔道のスキルアップや指導の参考になるようなものを紹介していこうと思います。
【参考】
「柔道固技教本」 小室宏二著 晋遊舎 2011
「DVD柔道固技上達法」 小室宏二著 クエスト 2009
YouTube「KOMLOCK 柔道 JAPAN」
https://www.youtube.com/channel/UCJr_RJ2_VqiyTRy6abbo8hA
【プロフィール】
小室宏二(こむろこうじ)
早稲田実業学校 教諭 柔道部監督
筑波大学・大学院卒業
足立学園講師、講道館道場指導部、東京都市大学付属中学校・高等学校教諭を経て現職
現役時代に培った固技技術を、国内外の試合に参加しながら実践し指導・普及を行っている